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路傍の晶

第45回

「30年越しの挑戦」 ジンギスカン やきもの処 伍大 店主 佐々木さん

「羊肉のよさを伝えたい」
という佐々木さん
「羊肉のよさを伝えたい」
という佐々木さん

折からの米国産牛肉輸入問題が、練馬に構える10坪の焼肉店を直撃した。仕入れの不安定と国内産牛肉の高騰により、28年に渡って営んできた店を畳まざるをえなくなる。

「転機だと思いました」佐々木さんは振り返る。
「食の安全は絶えず問われるもの。時代の流れもある。私としても、何か新しいことをやろうという気持ちがつねにありましたから、ある意味、いいきっかけでした」
練馬駅南口から徒歩2分
赤い看板が食欲を誘う
練馬駅南口から徒歩2分
赤い看板が食欲を誘う

思えば昔から、新しいことに挑戦しようとする姿勢は変わっていないのかもしれない。北海道から上京し、貿易の仕事に携わっていた佐々木さんは、「自分でなにか商売をやりたい」という思いをつねづね抱いていた。食料品店を営む母の背中を幼いころから見ていた影響もあったのだろう、知人に誘われ焼肉店に勤めると、独立の意欲はさらに高まった。そんな折、練馬に店舗を見つけて開いたのが、件の小さな焼肉店である。
北海道の味が楽しめる店内。
奥の座敷では宴会も
北海道の味が楽しめる店内。
奥の座敷では宴会も
28年を経てふたたび訪れた転機、しかし「新しいこと」を見つけるのに、さほど苦労はなかった。「ジンギスカンの店をやってみたらどうか」函館に暮らす兄が、ヒントをくれた。佐々木さんが意を決すると、兄は北海道の羊肉をすべて仕入れ、サンプリングした。そのなかから選んだのが、ジンギスカン発祥の地といわれ、また生まれた町に隣接する滝川の羊肉だった。

 心機一転、店舗も広い場所へと移した。さらにジンギスカンのみならず、カレイやホッケといった魚介類やジャガイモをはじめとする野菜類など、店には地元北海道の品が揃う。
「すべて函館の市場から直接、仕入れています。出身地だし、北海道食にこだわっている」

 昨年2月に新装開店し、約2年が経つ。近年は都心にもジンギスカンを扱う店が増えてきた。しかし、「東京ではまだまだ、羊肉はメジャーではない」と、佐々木さんはいう。
「北海道では焼肉といえばジンギスカンなんです。東京でも一時期はブームになりましたが、一過性のもの。牛肉と比べると、まだ馴染みが薄い」

 理由はどうやら固定観念にあるようだ。
「臭いというイメージがあるのでしょう。たしかにマトン(親羊)には独特のクセがある。でも羊肉は鉄分が多く、とくにラム(子羊)は脂も少ないので、とてもヘルシー。実際に食べていただくと、やわらかくて美味しいと、お客さんには好評です。ジンギスカンのよさをいかに発信し、定着させていくかが、私たちの課題ですね」

 郷里の味を東京の人々に知ってもらいたい――今後に向け、佐々木さんは思いを期す。飲食業に身を転じて30余年、店主の挑戦はいまなお、続いている。

取材・文◎隈元大吾

ジンギスカン やきもの処 伍大
住所: 〒176-0012
練馬区豊玉北5-20-10
アクセス: 西武池袋線練馬駅 南口より 徒歩2分
 
電話番号:03-3948-1285
営業時間:ランチ(月曜~日曜)12:00~15:00
夜(日曜は24:00まで)17:00~翌1:00
定休日:第2月曜