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特集!まちを楽しむ

匠が魅せる「伝統の技」

2008/08/27

匠の技が今なお息づく「伝統工芸」。 豊島区に は、23人の職人たちが名を連ねる「豊島区伝統工芸保存会」があり、一つひとつ丹念に創られた伝統工芸品を今に伝 えている。11月9~11日に開催の伝統工芸展を訪ね、匠の技に触れてみよう。

2006年11月9・10・11日「巧の技INとしま 第14回豊島区伝統芸能展」開催
妙技の極みが生み出す
紐台に絹糸をかけ、絹糸を巻いた玉を交互に動かし組んでいく組紐。古く京では公家の紐、江戸では武家の紐として使用され、現在も帯締めや羽織紐など幅広く使用されている。現在、息子が組紐技術を修行している平田家。「組紐は日本だけではなく世界でも古くから存在しています。継承後の私のライフワークとして、妻と一緒に組紐の歴史を辿る旅をしたい」と語る平田氏からは、深い伝統を受け継いだ日本人の浪漫を感じさせられた。
12色の原色が織成す妥協のない日本文化
江戸時代に京都の扇絵師・宮崎友禅斎が創始したと伝えられる友禅染め。土田氏は、図案から下絵、糸目、色づけまでの工程を手がける。各工程で気になる点を修正しながら進めるため、妥協せず美を追求するには全工程に携わるのが一番だと言う。こうして一筆一筆が静かに丁寧に運ばれ、素白な生地に自然の彩りが生まれる。「花草木、町の風景など自然の良さを表現したい」と土田氏。自然と友禅の融合で生まれる日本が誇る芸術だ。
素材を知り尽くした匠が本物を伝える
しなやかで軽い「籐」。日本にも古くから伝えられ、「籐製品」が人々に使われ始めたのは、今から100年前に遡るという。都の伝統工芸士に認定された渡邉氏は、「籐は丈夫なので、戦時中もさまざまな用途で使われてきた。また、クーラーがなかった時代、籐の椅子は涼しいのでとくに重宝されたものだよ」と話す。輸入籐家具が増えている近年、本物は素材を知り尽くした匠の手によって受け継がれている。
素材の良さを発揮する技法
江戸提灯の手書きの墨文字は、江戸の風情を現代に伝えてくれる。風合いや握った感触は、やはり手作りに限る。また、和紙や墨など素材の品質にもこだわることで、中の灯りが抜ける提灯本来の美しさと、醸しだす温もりが心地よく伝わる。「自分がつくった提灯を手にして喜んでいただきたい」と瀧澤氏。「伝統の技と自らの工夫を発揮できる」、これが手作りにこだわる理由だ。
世界に一つだけの小粋な逸品
昭和21年より父のもとで鍛金技法の修行入りした内田敏郎氏。その後、小川友衛氏のもとで、長年の経験と高度な技が必要とされる「切嵌(きりはめ)」技法を修得。現在では数少ない切嵌技法の第一人者だ。多少へこんだり傷ついても簡単に修復できるため、半永久的に使用できる。伝統工芸展に向け、「たくさんの人に手作りの銀細工の魅力を知ってもらいたい」と語る。
長年磨きあげた素材と技の融合
彫金の歴史は古く、古墳などからも発掘品が見られるほど。いくつもの鏨(たがね)でさまざまな模様を描く彫金は、現代でも宝飾品としてなくてはならない伝統工芸のひとつだ。この道60年の清水氏のもと、二代目となる息子が修行中。「日本の良き伝統技術を継承してもらえるのは嬉しいこと。いつまでも清水彫金工房らしい個性的で長く愛されるものを作っていきたい」と語る。
昭和10年に初代が創業後、昭和23年上池袋に「梅花亭」を開業。「鮎の天ぷら最中」や「浮雲」、「有楽の月」は商標登録品。天然色素と型にこだわる伝統和菓子を手がける。
昭和9年より、初代の義父のもとでべっ甲細工を修行。後に「宮本工業」の二代目となる。昭和34年、巣鴨移転をきっかけに、眼鏡枠専門店として新たに開業。現、天皇陛下より、べっ甲眼鏡の注文を受け製作した経験を持つ。
模様師、神田茂穂氏に師事し、デッサンと絵画を「お茶の水美術研究所」で学ぶ。現在、友禅作家として伝統技術を活かし、作品展を開くなど活躍の場を広げている。
昭和46年に義父から籐工芸を学ぶ。籐の細かい材料を使った女性らしい繊細な感覚による細工が特徴。籐製品の製造販売に携わるほか、籐教室の講師も努める。
弘前市の中野啓造氏に師事し、津軽武者凧の指導を受け、線を太く、力強く、鬚を濃くという描き方を学ぶ。後に、橋本禎造氏による鎧武者絵の精密で繊細な技法に魅了。現在、武者絵凧師として、江戸武者絵凧を制作している。
模様師の父のもとで修行しながら、かつ小笠原忠春氏に5年間友禅を学ぶ。その後、画家・長浜信夫氏のもとでデザインを学び「遊幻彩色」の二代目となる。創作着物のほかにも、オリジナル染めによるシャツやショールなど幅広く製作。
大正12年に藤工芸の世界に入った父、尾崎喜一氏のもとで修行を重ね、「尾崎商店」の二代目となる。加工時の、材料に加える温度に対して細心の注意を払い、使い手が求めるオーダーメイドの藤製品に拘る。
友禅染色作家、竹田耕人氏のもとで修行し、着物染めの全工程を修得後独立。主に真糊を用いる伝統的な色彩と技法を重視し、古典柄の訪問着などを手がける。
東京で三代に渡り提灯を製作。板橋で90年余、提灯製作を続けた後、平成14年に雑司が谷に移転。伝統技術の保持と同時に、新しい作品作りにも積極的に取り組む。
父のもとで、図案や下絵など修行を重ね、「山歩染廬」の模様師二代目となる。近年では人物や動植物などを題材とする細密な友禅を目指す。
京都の下絵師のもとで修行。帰京後、模様師として下絵、友禅挿し、仕上げ、糊置き、地染めを行い「椎名町工房」の二代目に。
父が顧問の手描き友禅「錦秀苑」に入門。修行を経て「彩浩苑」を設立。古き良き作品の保存と再利用のため、修復にも注力する。

この情報の出典 「まるごと池袋マガジン 池袋15’」