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Cute Movies

あの子を探して

監督:チャン・イーモウ

中国山奥の貧しい農村。生徒の減少に悩む貧しい小学校。
そこで1ヶ月間、28人の生徒を相手に代理教師をすることになった
13歳の女の子のお話である。
───真っ赤なほっぺたのウェイ先生。

若い女の子が先生というと、
わたしの中では「サウンド・オブ・ミュージック」の家庭教師なんかが印象的である。
笑顔を失った家族に愛と音楽の喜びを!
あのチャーミングで美しい家庭教師の笑顔と歌声には
本当に心ときめいた。

かつて多くの女子小学生を夢中にさせた小公女セーラなども
先生の器ではないだろうか。
彼女の寛大さと言ったらすごい。

「サウンド・オブ・ミュージック」の先生もセーラも
優しくてかわいくて本当に心が広かった。

しかし、この映画のウェイ先生はちょっと違う。
お世辞にも美人とはいい難いし、唄もちょっと・・・。
言うことを聞かない子供たちにも、勝気なウェイ先生は
とても寛大ではいられない。
だいたいこの仕事を引き受けたのも、村長さんが50元くれると言ったから。
13歳。
当たり前と言えば、当たり前である。

ある日クラスの悪ガキ、ホエークが出稼ぎで遠くの街に行ってしまった。
「代理の1ヶ月間、一人も生徒を減らさない。減らさなかったら、10元あげるよ」
専任の先生とそんな約束をしていた彼女は、
遠い都会の街まで、ホエークを探しに行く。
もう必死。可笑しいくらいに必死である。
しかし、その必死さ、頑なさ、一途さに
観ている誰もが、いつしか目を離せなくなってしまうだろう。
この映画で監督は役者に全て素人を起用し、彼らに現実と同じ職業や立場の役を与えたそうだ。
そして、役者には極力脚本は見せず、「自分が同じ状況だったら、どうするか」
を彼らに問い、それをもとに撮影を進めていったという。
そのせいか、まるでドキュメンタリー作品を見ているようなリアリティーが、この映画にはあった。

とてもいい映画だった。
そして、真っ赤なほっぺのウェイ先生は
小さいけれど本当にすてきな先生であった。

text by...  RS

2000/12/15