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路地裏のさんぽにん

第34回 東京都品川区・港区

JR・京急線品川駅周辺を歩く! 後篇

今回は品川駅に下車(所在地は品川区と思いきや、港区高輪)。
駅西側の高輪口に対して東側の港南口は、再開発により
都内でも有数のオフィス街。高層ビル群の谷間を抜けていくと、
江戸は東海道の一番宿「品川宿」の面影が残る商店街へ。
品川浦舟だまりや昔懐かしい路地など、タイムスリップした気分!

今回のまちの表情

A. 品川宿入口 B.路地奥の虚空蔵尊養願寺 C.品川インターシティと品川グランドコモンズの夜景 D.路地の現役バリバリの井戸 E. 高層ビル群を背にして目に飛び込んでくる木造民家の街並み F.目黒川に架かる品川橋。あずまやでひと休みしてく? G.路地ねこ H. 品川セントラルガーデンのフォリー1。潮の干満によって造形物に水が満ちたり引いたり I.昭和初期に造られた看板建築の店舗が目をひく星野金物店 J. 新宿お休み処・駄菓子屋またあしたのレジ K. 海岸石垣の名残と説明板 L. 善福寺の本堂外壁に描かれた伊豆長八のこて絵 M.桜の木が並ぶ御殿山通り。江戸時代に御殿山は桜の名所として知られた。

おさんぽマップ

さんぽのポイント! (おさんぽマップ 6〜10)

その6 のどかな舟だまりから時代の流れを眺める

●品川浦舟だまり
 江戸湾には漁を専業とする人々の集落がいくつかあり、猟師町または浦といった。品川周辺には「品川浦の南品川猟師町」と「御林浦の大井御林猟師町」があり、“御菜肴八ヶ浦”の1つとして、収穫した魚介を江戸城に献上していた。
 その猟師町にはこのような風景が広がっていたのだろうなあ……と思わせるのが、こちらの舟だまり。江戸時代の船遊びをいまに伝える屋形船や季節ごとにハゼ、カレイ、キスなどを釣る釣り船が停泊している。
 舟だまりの向こうには瓦屋根が連なる木造民家の家並み、その左側には高度成長期に建てられた都営団地、右側にはバブル時に建てられたマンション、そして背後には再開発による高層ビルと、時代ごとの建物が一堂に集まり、異空間に迷い込んだような眺め。

その7 品川沖にやってきた大鯨に江戸は大騒ぎ

●鯨塚
 寛政10年(1798)5月、暴風雨のために品川沖に迷い込み、浅瀬に乗り上げて動けなくなった鯨を地元の漁師たちが発見。全長約16メートル、高さ約2メートルの大鯨に見物客が詰めかけ、かわら版まで出される騒ぎとなった。さらに、江戸をかけめぐったうわさは11代将軍家斉の耳にも入り、鯨は芝の浜御殿(現在の浜離宮御賜公園)の沖まで運ばれたという。
 その後、鯨は解体され、胴体部分は入札によって金41両3分で落札(当時の金1両って、現在の円でどのくらい!?)。残った頭の骨は利田(かがた)神社付近に埋葬され、現在も鯨塚が残されている。
 「享保の象」「文政の駱駝」と並び、「寛政の鯨」として、江戸の人々を驚かせた三大珍動物の1つ。
■品川区東品川1-7-17

その8 幕末の歴史が五角形のカタチで残っている

●御殿山下台場跡
 嘉永6年(1853)、アメリカ合衆国のペリーが日本に開国を求め、黒船で来航。徳川幕府は江戸の町を守ろうと、品川沖に人工島を造り、11の台場(砲台)を設置することを計画。第1、第2、第3、第5、第6台場は完成したが、経費がかかりすぎて第4、第7の工事は中断、第8以降は着工すらしなかった。
 その代わり、陸続きに五角形の「御殿山下台場」を築造。明治時代に姿を消したが、跡地に建てられた台場小学校を地図で見ると、敷地がほぼ五角形なのがわかる。
 校門前には跡地で発見された石垣を使用した記念碑が建立。レプリカの灯台は第2台場に造られた日本で3番目の洋式灯台「品川灯台」。ホンモノは国重要文化財として、愛知県犬山市の博物館「明治村」に移設されている。
■品川区東品川1-8-30

その9 週末にのんびり過ごしたい手作りの和カフェ

●クロモンカフェ
 2009年春、「黒門横町」にオープン。この戸をカラカラっと開け、築60年の家屋の2階へと上ると、畳敷きにちゃぶ台が置かれた和カフェが迎えてくれる。
 メニューは珈琲、オリジナル生ジュース、手しぼりオレンジジュース、自家製の甘味、特製・檸檬カレー、とろとろオムライスなど、営業日によって変わる。おいしいものをのんびりと楽しんでほしいからと、どれもていねいに手作りされたものばかり。
 ガラスの器や布小物など、品川てづくり市の若手作家による作品を常設展示。企画展やクラフト教室などが開催されることもある。
 営業日は土・日曜・祝日のみで、私がさんぽしたのは、あぁ残念、平日。次回訪れたときはお邪魔して、窓から旧東海道の街並みを眺めてみたいなあ。
■品川区北品川2-2-7(丸山パン工房2階)
■土・日曜・祝日11:00〜17:00、21:00〜24:00
 ※イベント開催時は営業時間が変更になる場合あり
http://www.cafeblo.com/kuromon-cafe/

その10 磯の香りと香ばしさが口いっぱいに広がる

●品川巻
 江戸時代、品川浦では海苔を採取。“海苔といえば品川”といわれるほどの産地となり、江戸の名産「浅草海苔」の名で全国に知られた。
 「手焼きせんべいあられ処 あきおか」は、明治28年(1895)創業。直径約5ミリの細長いあられに海苔をくるりと巻いた「品川巻」は香ばしく、パリッカリッと上品な歯ごたえ。海苔の風味があとを引き、手が止まらない。
 海苔巻き、昆布、青のりなどの味が楽しめる「手焼きせんべい」、のり、えび、青のりなど8種類の味のあられをワンパックにした「八宝菓」なども、さんぽのおともに、おみやげにちょうどよい。
 「全国菓子大博覧会金賞」「名誉会長賞」を受賞。ご主人と奥さんの笑顔があたたか〜い店。
■03-3471-4325
■品川区北品川2-2-8
■10:00〜20:00(日曜・祝日は〜18:00)
■ 不定休(月1〜2回)
■ 品川巻(小)525円

さんぽを終えて……

物見遊山で賑わった品川宿はいまもわいわいと活動中

 東海道五十三次の一番宿「品川宿」は、海に面した風光明媚なところでした。西に富士山、東に房総を望み、江戸前の新鮮な海の幸も楽しめました。

 春には徳川吉宗が飛鳥山、墨田堤、小金井と並んで植樹を行った御殿山で桜の花見、春から夏にかけては目の前に広がる遠浅の海で潮干狩り、秋には江戸一といわれた海晏寺で紅葉狩りができ、旅人だけでなく、江戸市中や周辺の地から多くの人々が物見遊山に訪れたといいます。

 また、旅籠屋では遊女を置いているところも多く、「北」の吉原に対して「南」と称され、たいへんな賑わいを見せたそうです。

 賑わうといえば、「品川宿交流館本宿お休み処」。ひょいと立ち寄ったら、「旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会」の方々が歓談中。

 「今日は日射しがじりじりと暑いわねぇ」とメロン型の容器に入ったメロンシャーベットを持ってきた方が「いっしょにどうぞ」。路地に並べたイスに座って、私までわいわいとごちそうになってしまいました。

 「この交流館は09年1月にオープンしたんですよ」とお話してくれたのは、会長の堀江さん。

 「まちづくり協議会では、品川宿を訪れた人たちが気軽に寄れる場所をつくろうと、お休み処を開設しました。昔ながらの店舗を利用した飲食店『あぶりや連』『居残り連』『品川亭』や品川蒔絵の体験ができる『ぎゃらりー連』のオープンに関わったり、街並みに宿場の雰囲気を感じてもらえるように、通りを石畳に舗装したりもしています」。

 街のあちこちで見つけられる品川宿の面影。その景観や文化を次世代に伝えていきたいというのも、まちづくり協議会の大きな思いです。

 「いま、若い世代が品川宿を盛り上げていこうと、クロモンカフェを開店したり、品川てづくり市を開催したりしています。人力車にお客さんを乗せて、品川宿の案内をしようと考えている子もいるんですよ」。

人情豊かな品川っ子に迎えられる楽しいさんぽ

 09年10月に「BP品川宿」を開業させる渡邉さんも、そんな若手のうちの1人。

 「休業中のビジネスホテルを1泊3000円の外国人旅行者向けゲストハウスにリニューアルします」。

 自分が生まれ育ったこの街に世界中からやって来る人々を迎えて、品川宿に新しい風を吹かせたいと、熱い思いを語る渡邉さん。

 「将来は街道沿いにゲストハウスを増やして、品川宿を復活させたいんです」。
 おぉ〜。がんばれーっと応援したくなります。

 メロンシャーベットを食べ終わり、それにしても、品川宿のみなさんは気さくな方々ばっかりですねぇ?

 「宿場は人が来ることで、はじめて成り立つところ。品川っ子は外の人に対して警戒心がなく、だれでもあたたかく迎え入れる気質の人が多いんだろうね」と、堀江さん。
 「宿場ならではの人情があるっていうのかな。それがこの街の財産なんですよ」。

 「新宿お休み処・駄菓子屋またあした」で会った地元の方も、「はんこ店の屋根を見てごらん。大黒さまの鬼瓦がついているよ」と声をかけてくれました。人情が豊かな街はさんぽをより楽しいものにします。

 品川宿はかつて旅人たちをもてなしたように、いまも訪れる人々をあたたかい人情で迎えているのです。

■参考資料/東海道品川宿まち歩きマップ(旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会)、東海道品川宿のはなし(品川区HP)、市観光・施設パンフレットほか

*09年9月にお散歩しました。お店などの内容、データは変更されることがあります。
 なお、各施設の写真は許可を受けて撮影しています。

路地裏のさんぽにん 文・写真・地図/森田奈央

お天気のよい日には、いつもと違う駅に下車して、
街をぷらりと歩いてみましょうか。

路地を一本、ひょいと入っていくと、
知らなかった日常に出会えるかもしれませんよ。

森田奈央●路地から路地へ散歩するライター。ちなみに、散歩中によく出会うのは猫。どうも猫を呼ぶ体質らしい。著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。