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特集!まちを楽しむ

小説の舞台となった「池袋」

2008/08/27

2005/12/14

年末の慌しい日々が過ぎると、もうすぐ正月休みの方も多いかと思います。
今月は冬休み・正月休みを利用して読める、池袋が舞台となった名作をラインナップ。
個性あふれる作品と、独自の世界をお楽しみください。

ミステリー本

池袋署にもどるという吉岡とウエストゲートパーク
で別れて、 おれたち三人はベンチに座った。
夜になって野外将棋大会はますます
ヒートアップしているようだった。(中略)
ステージの手まえの階段には、
アコースティックギターを抱えたふたり組が座り、
センチメンタルな歌をうたっている。

―「スカウトマンズ・ブルース」本文より

群れて死ぬより、一人で生きよう!新世代の青春ミステリー

解説
主人公“マコト”の元には、なぜかいろんなトラブルが舞い込んでくる。数々の事件を解決しながら、池袋の人間模様を描いてゆく人気シリーズ。本作は、「反自殺クラブ」ほか全4話を収録するシリーズ第5作。池袋のスポットが続々と登場するので、「池袋通」にもなれる本。
あらすじ
池袋のトラブルシューター・マコトの今回の依頼は、自殺サイトの掲示板で自殺志願者を募り、多くの人たちを自殺へ導いてきた謎の人物「スパイダー」を追うこと。マコトは、集団自殺を事前に察知しそれを防止する「反自殺クラブ」のメンバーと知り合うが、スパイダーを追って集団自殺現場へ潜入捜査を繰り返していたメンバーの1人が不運にもスパイダーの手引きによって自殺してしまう。そして、多くの自殺者を背後で手ほどきしてきたスパイダーの真の目的がマコトたちを戦慄させる。
書籍DATA
発行/文藝春秋
2005年
定価(本体1524円+税)

主人公・マコトの足跡を辿る

雑司ヶ谷霊園
夏目漱石、永井荷風、竹久夢二、東郷青児ほか多くの著名人が眠る一大霊園だ。お墓参りだけでなく、散策に訪れる人も多い。豊島区南池袋4丁目25番1
雑司ヶ谷霊園
夏目漱石、永井荷風、竹久夢二、東郷青児ほか多くの著名人が眠る一大霊園だ。お墓参りだけでなく、散策に訪れる人も多い。豊島区南池袋4丁目25番1
『池袋ウエストゲートパーク』は池袋の主な見所を網羅している。いわばこの街を散策するには持ってこいのガイドブックでもあるのだ。とてもディープで興味深い場所が多いので、本を片手に池袋を歩いてみよう!
雑司ヶ谷霊園
夏目漱石、永井荷風、竹久夢二、東郷青児ほか多くの著名人が眠る一大霊園だ。お墓参りだけでなく、散策に訪れる人も多い。豊島区南池袋4丁目25番1
雑司ヶ谷霊園
夏目漱石、永井荷風、竹久夢二、東郷青児ほか多くの著名人が眠る一大霊園だ。お墓参りだけでなく、散策に訪れる人も多い。豊島区南池袋4丁目25番1
雑司ヶ谷霊園は、都心のまんなかにある巨大な墓所だ。広さ十一万平方メートルもある。なぜか作家の墓が多くて、夏目漱石、永井荷風、泉鏡花、小泉八雲なんかもあそこに眠っている。(中略)宗派は関係ないので、十字架のついた墓石もある。
―「反自殺クラブ」本文より
グリーン大通り池袋駅
東口から護国寺までの一直線、通称「グリーン大通り」。オフィスビルがひしめき合うビジネスストリートだ。
グリーン大通り池袋駅
東口から護国寺までの一直線、通称「グリーン大通り」。オフィスビルがひしめき合うビジネスストリートだ。
グリーン大通りはJR池袋駅からまっすぐに護国寺まで延びる東口のメインストリートである。両側にイチョウやケヤキの並木がそろい、端正なオフィスビルが妙な統一感をもって数百メートルも続いている。
―「死に至る玩具」本文より

この本もチェック ~ミステリー本~

『池袋ウエストゲートパークIV電子の星』
石田衣良/著・文藝春秋


4つの作品を収録したシリーズ第4作。「電子の星」は、池袋で行方不明となった友人を探しに、山形から出てきた自称ひきこもりのテルがマコトに出会うところから始まる物語。

『姑獲鳥の夏』
京極夏彦/著・講談社ノベルス


40万部を超えるベストセラーとなった直木賞作家・京極夏彦の傑作。雑司が谷や鬼子母神を舞台に、恐ろしいミステリーの世界が展開される。今夏映画化もされ話題を集めた作品。

『サラマンダーの夜』
久間十義/著・角川書店


池袋の雑居ビル火災を取材する女性記者と、捜査一課の警部補の5日間に及ぶ調査行動を追いながら、火災の真相、そして物語の核心に迫っていく。衝撃的な警察小説といえる一冊。

『デズデモーナの不貞』
逢坂剛/著・文藝春秋


直木賞作家・逢坂剛が池袋西口のバー「まりえ」を舞台に描いた連作集。銀座のクラブから池袋へ“落ち延びてきた”ママのまりえを取り巻く人間模様が池袋のネオン街と交差する。

恋愛本

池袋の西口の大きな交差点が見えてきた。
びっしりと並ぶ車の列。
雪の中を急いで歩く人々。
正面にはデパートの巨大建物が聳え、
右手の奥には東京芸術劇場の灰色の
壁面が覗いている。

―「ここがモンパルナスだったのか…。」本文より

池袋モンパルナスの放縦な画家と彼を愛した二人の女たちの物語

解説
昭和初期から終戦にかけて、池袋に芸術を目指す若者たちが集う理想郷、池袋モンパルナスがあった。そこで生きた放縦な画家・西游と、彼を愛した早夜と美紗江の恋に殉じた女たちの物語。三角関係を中心に現在と過去が交互に描かれ、終盤、劇的な事実に驚かされる。

あらすじ
太平洋戦争下、同じ美術学校に通う早夜と美紗江。早夜は中退してモデルとなり、美紗江は卒業して画家への道を歩み続ける。戦火が激しさを増した頃、二人は一人の画家を同時に愛してしまうことになる。そして現在、年老いた早夜と美紗江は古ぼけたアパートに同居。一方、小出版社に勤める29歳の額田彩子は、幻想絵画集の出版準備中、作者不明の一枚の絵に出会う。その作者を求めて、当時を知る彼女たちを訪れることに…。そして驚愕な事実が判明する。

書籍DATA
発行/集英社文庫
1998年
定価(本体629円+税)

池袋モンパルナスとは・・・?

昭和初期、大震災復興後の振興都市・池袋近辺に画学生を対象とした安価なアトリエ付き賃貸が出現。詩人・小熊秀雄がその当時の自由な雰囲気を「池袋モンパルナス」と名付けた。
池袋の西口の大きな交差点
上記の一節は、要町から池袋方面に向かって「アゼリア通り」を歩いたときの眺めと思われる。出版社に勤める現代の主人公・彩子が池袋モンパルナスを辿って歩いた道だ。
池袋の西口の大きな交差点
上記の一節は、要町から池袋方面に向かって「アゼリア通り」を歩いたときの眺めと思われる。出版社に勤める現代の主人公・彩子が池袋モンパルナスを辿って歩いた道だ。
アトリエ村の光景
「池袋モンパルナス」に存在したアトリエ村を「すずめヶ丘」「桜ヶ丘パルテノン」と呼んだ。「桜ヶ丘パルテノン」には多い時で70軒ものアトリエがあったとか。
協力/豊島区立郷土資料館
アトリエ村の光景
「池袋モンパルナス」に存在したアトリエ村を「すずめヶ丘」「桜ヶ丘パルテノン」と呼んだ。「桜ヶ丘パルテノン」には多い時で70軒ものアトリエがあったとか。
協力/豊島区立郷土資料館

この本もチェック ~恋愛本~

『球体』
五十嵐真紀/著・文芸社

愛した人との死別。参列が許されない通夜のあった晩、主人公は山手線を巣鴨で降りて街にたたずむ。巣鴨のやさしさが主人公を包み込む作品「巣鴨駅下車」ほか6つの短編を収録。。

『こころ』
夏目漱石/著・岩波文庫


文豪漱石が、明治という時代の終焉を描いた名作。小説の中の「先生」が、主人公の大学生に理由を説明することなく、月に一度、墓参に訪れる場所。それが雑司ヶ谷霊園だった。

『天使の卵』
村山由佳/著・集英社文庫


大泉学園に住む予備校生が、池袋に向かう電車の中でひとりの女性に一目惚れする。運命的な出会いで始まった愛と、その後訪れる衝撃的な結末が、生きるということの意味を説く。

自伝本

池袋の街は、ようやく暮れようとしていた。
西口のマーケットの一角には、
すでにネオンと、流行歌のレコードと、
ヤキトリの煙とがあふれて、そこだけ
他の通りより早く夜がやってきているように見える。

―本文より

昭和30年代の池袋西口マーケットが登場する五木寛之の自伝的長編小説

解説
筑豊篇に続く五木寛之の自伝的長編小説。主人公・伊吹信介がさまざまな人と出来事に遭遇し、苦悩に満ちた青春を描く。ボクシング部の講師・石井と娼婦・カオルの恋、石井に捨てられた女・理子の存在など、信介をめぐる大人たちの描写がみごと。映画化もされている注目作。

あらすじ
昭和29年、故郷・筑豊を後に早稲田の文学部に入学する主人公・伊吹信介。信介は下宿捜しに奔走し、アルバイトに明け暮れる毎日だったが、やがて演劇部の学生の影響でボクシング部に入部。講師の石井の指導で本格的なトレーニングを始める。その頃、信介の後を追って上京した九州時代の恋人、織江はラーメン屋で住み込みで働いていた。池袋のヤクザに犯されそうになった織江。信介は織江をヤクザから奪回すべく行動を開始する。

書籍DATA
発行/講談社文庫
1987年
定価(本体602円+税

西口マーケットとは・・・?

空襲により焼け野原となった池袋駅前に、敗戦とともに長屋式のマーケットや露天商からなる「ヤミ市」が現れた。それが「西口マーケット」だ。昭和37年まで営業が続けられたという。物語の主人公・信介が歩いた「西口マーケット」は、こんな風景だった。
西口のマーケット
西口マーケット入り口。 「トリスバー」「おでん」「美人街」などの看板が。
西口のマーケット
西口マーケット入り口。 「トリスバー」「おでん」「美人街」などの看板が。
西口マーケット内の風景。
写真は縁台で将棋をする人々。1957年(昭和32)年頃の撮影。
西口マーケット内の風景。
写真は縁台で将棋をする人々。1957年(昭和32)年頃の撮影。

この本もチェック ~自伝本~

『書店風雲録』
田口久美子/著・本の雑誌社


かつてリブロ池袋店店長を務めた著者が、書店販売員の目線でリブロの成長の歴史を綴った本。人気店として知られるようになるまでの苦労と工夫の道程が詳細に記され興味深い。

『父・三角寛』
三浦寛子/著・現代書館


池袋が誇る名画座「文芸坐」の創設者・三角寛の娘である著者が、サンカ小説家として名を残した「父」を語った一冊。記者時代にサンカと出会った三角寛の波乱の一生が綴られている。

『池袋シネマ青春譜』
森達也/著・柏書房


実際に立教大学を卒業した著者が、20数年前の自身の日記やメモを元に書き上げた作品。映画と芝居の世界に憧れる立教大生の主人公が、池袋の街を舞台に繰り広げる青春群像劇。

散策本

赤羽線堀之内踏切1K044M、
大また三歩半は、
北池袋駅の改札から、
池袋のほうへもどったところにある。
昼どきなのに商店街はひとが少なく、
店さきのバナナもしなりと横たわっている。

―本文より

北池袋の"踏切”を舞台に人間模様や街の姿、歴史を綴る

解説
独特の言葉で、奥へ奥へと著者の世界に引き込まれていく不思議な本書。「踏切」というありふれた光景を舞台に、その町の姿や人間模様、歴史などを鋭く描いているのが面白い。偶然見つけたことを何気なく綴っているように見えるが、その内容は奥深く、場面ごとに考えさせらる一冊。

あらすじ
「踏切」を舞台に全25話を収録するエッセイ集。池袋周辺は「少年と踏切」の章で“北池袋”の風景とともに紹介されている。昭和31年、北池袋に父を訪ねた12歳の四谷シモン。父はタンゴ楽士。のちに人形作家になった少年に、はじめて人形を与えたのも父だった。しかし家族と離れてからは、酒でくらしを荒れさせて、この町にひとりで住んでいる。そんな父から使い古しの絵の具が渡される。しかし、父の貧しいくらしが受け入れられず、帰りの道の踏切で絵の具を投げ捨て、父への思慕を切り捨てたのであった…。

書籍DATA
発行/筑摩書房
2005年
定価(本体1,500円+税)

「北池袋」駅周辺を散策する

昭和初期、大震災復興後の振興都市・池袋近辺に画学生を対象とした安価なアトリエ付き賃貸が出現。詩人・小熊秀雄がその当時の自由な雰囲気を「池袋モンパルナス」と名付けた。
赤羽線堀之内踏切
本書に「踏切は、ホームの池袋よりの先端すぐわきにあるのに、なかなかたどりつけない」と書かれているとおり、やや入り組んだところにある
赤羽線堀之内踏切
本書に「踏切は、ホームの池袋よりの先端すぐわきにあるのに、なかなかたどりつけない」と書かれているとおり、やや入り組んだところにある
商店街本書で紹介の「北池袋」踏切近くの商店街。中央に豊島清掃工場の白い煙突がそびえている。
商店街本書で紹介の「北池袋」踏切近くの商店街。中央に豊島清掃工場の白い煙突がそびえている。

この本もチェック ~散策本~

『懐かしい「東京」を歩く』
森本哲郎/著・PHP文庫


失われた東京の面影をたどりながら、その歴史や文化の魅力を語り尽くす随想集。80年近くを東京で過ごしてきた著者は、幼少時代を巣鴨で過ごした。庚申塚などの回想が味わい深い。

『東京文学の散歩道』
中谷治夫/著・講談社

都内各所をまわり、その地に縁のある作家文人たちが住んでいた家やゆかりの場所を紹介した作品。池袋・目白・雑司が谷界隈の文学遺産が登場。思わず史跡めぐりに出かけたくなる。

『東京ディープな宿』
泉麻人/著・中央公論新社


東京に残る、一風変わっていながらも懐かしく安らぎのある宿を、気の向くままに歩きながらまとめたエッセイ集。池袋の宿は、「多国籍タウンの中国人宿に泊まる」の章で紹介。

この情報の出典 「まるごと池袋マガジン 池袋15’」